今回は、めんまを作る過程でなぜ塩漬けにするのかについて、その理由をひも解いてみたいと思います。
別の記事でもご紹介いたしましたが、めんまを作る際は伐採したたけのこを煮てアクを抜いた後、塩漬けにする工程を踏むのが一般的です。では、なぜ塩を用いるのでしょうか。そこには大きく分けてふたつの目的がございます。
塩漬けにするふたつの大きな目的
長期保存を可能にする昔ながらの知恵
ひとつ目の理由は、長期保存を行うためです。これは昔から受け継がれてきた暮らしの知恵でもあります。
昔は現代のように冷凍設備や乾燥技術が手軽に使えたわけではありませんでした。雑菌の繁殖や食材の痛みを防ぐために重宝されたのが塩です。
高い塩分濃度で漬け込むことで、腐敗の原因となる雑菌の活動を抑えられます。使用する際には水でしっかりと塩を洗い流し、塩抜きを行えば元通りに使えるという仕組みです。
乳酸発酵をコントロールする
ふたつ目の理由は、乳酸発酵を適切にコントロールするためです。
たけのこを茹でた後に発酵させることが、めんま作りの大切なポイントとなります。めんま独特の風味や酸味、心地よい歯ごたえを生み出すために、塩漬けの工程が役立っています。
塩分を加えることで、特定の乳酸菌だけを働かせ、その他の有害な菌の動きを抑えることができます。
塩漬けにしためんまは、そのままでは塩分が強いため塩抜きを行いますが、水に浸して塩を抜くことで生地がスポンジのような構造になります。
この工夫によって、ラーメンのスープや出汁がしっかりと染み込みやすくなるという嬉しい利点も生まれます。
塩漬け以外の保存・加工方法と比較してみると
塩漬けが主流ではございますが、他の方法はないのだろうかと気になるところです。いくつかの方法と比較してみましょう。
完全乾燥の場合
日持ちという面では、完全に乾燥させたものは食品ロスも出にくく、大きなメリットがございます。魚の干物と同じように、旨味がキュッと凝縮されるのも魅力です。
一方で、戻す際に時間がかかるという面もあります。少し水に浸した程度では戻らないため、数日間水につけておく手間が必要です。また、このようにして戻したものは、食感がやや硬めになりやすい傾向がございます。
酢につける場合
お酢につける方法は、塩抜きの手間がかからず、傷みにくいという特徴があります。
しかし、発酵による独自の風味がつきにくくなるほか、お酢の味が強く残ってしまいます。どうしても酸味が前面に出てしまうため、繊細な味わいの料理に合わせる際には少し邪魔になってしまうことがあります。
冷凍保存の場合
素材をそのまま凍らせる冷凍保存は、食感を維持しやすいという良さがあります。
ただし、解凍する際に注意を払わないと、水分と一緒に瑞々しさが抜けてしまうことがございます。また、常温で保管できる塩漬けとは異なり、常に冷凍庫を稼働させておくコストがかかる点も考慮しなければなりません。運搬する際にも温度管理が必要となるため、手軽さという点では一長一短がございます。
手間ひまに込められたこだわりに思いを馳せて
このように比較してみますと、特定の乳酸菌だけを発酵させ、水分を抜いた後も心地よい歯ごたえを残せる塩漬けの手法が、なぜ広く使われているのかがよく分かります。
もちろん、これらは一般的なお話であり、よりおいしく仕上げるために様々な工夫や試行錯誤が重ねられています。もし機会がございましたら、「別の方法で作ったらどうなるかしら」とご自身で試してみるのも面白いかもしれません。
当たり前のように店頭に並んでいるめんまですが、そのひとつひとつに昔ながらのこだわりや製法の工夫が詰まっています。そんな背景に少し思いを馳せながら手に取ったり味わったりしてみると、いつもの食卓がより豊かなものになるのではないでしょうか。