形状によって姿を変える竹の魅力と可能性


大分県の別府といえば竹細工が有名ですが、竹はそのままでも、また少し手を加えることによっても、驚くほど多様な表情を見せてくれます。

今回は、竹の形状ごとの特徴や使い道、そしてこれからの未来に向けた新しい可能性について、皆様にお話しさせていただきます。

竹をそのままの姿で活かす

まずは、加工をほとんど加えず、竹そのものの形状を活かす使い方について見ていきましょう。

丸竹の持つ力強さ

丸いままの竹は、折り曲げたり押しつぶしたりする力に対して、非常に強いという性質を持っています。

現在では実際の建築現場で見かけることは少なくなりましたが、昔は建築の足場として盛んに使われていました。さらに昔に遡ると、漆喰壁の家の中で柱の代わりや、今でいう鉄筋のような役割を果たしていた時代もあります。

現代においても、美しい竹垣などにその姿を見ることができます。簡単には折れないという竹本来の強さを生かした、昔ながらの知恵ですね。

竹ひごのとしなやかさ

竹を薄く切り出した竹ひごは、曲げたり編み込んだりすることができるため、竹細工には欠かせない素材です。

特に竹の表皮(表面の部分)は引っ張る力に対して非常に強いため、繊細でありながら丈夫な道具を作り出すのに適しています。

割竹の利便性

丸竹を4分割や8分割など縦に割った割竹は、丸竹と竹ひごの中間のような存在です。

縦方向の繊維が非常に強いという特徴があり、剣道の竹刀や和傘の骨組み、農業用の支柱など、幅広い用途で活用されています。

パウダー状に加工して広がる利用法

竹をさらに細かく細かくして、粉末(パウダー)状に加工することで、また新しい性質が生まれます。

竹はもともと糖質を含んでいるため、パウダー状にして空気に触れさせない「嫌気発酵」を行うと、乳酸菌が劇的に増加します。うまく発酵させると、甘く心地よい香りが漂うようになります。

ただし、パウダーにしたまま放置してしまうと腐敗してしまい、強い悪臭を放つ原因となりますので、しっかりと空気を遮断することが大切です。発酵を促す予備水代わりに、米ぬかを少し混ぜるのも効果的です。

こうして作られた竹パウダーは、土壌改良材として農業に役立てられたり、家畜の飼料として活用されたりしています。

竹炭がもたらす暮らしの知恵

竹を高温で蒸し焼きにして「竹炭(ちくたん)」にすると、木炭とはまた異なる優れた特性を発揮します。

竹はもともと多孔質であり、繊維の中に無数の小さな穴が開いています。竹炭になるとこの穴が保たれ、表面積が普通の木炭に比べて何倍も広くなります。

この広い表面積のおかげで、さまざまな匂いや物質を吸着する力に優れています。

  • ペットの消臭剤や水の浄化
  • 不織布などに包んでお部屋の調湿(湿気取り)

このように、日々の暮らしを快適にしてくれる身近な道具として活躍してくれます。また、竹炭には電気を通す同電性という面白い性質も備わっています。

竹が切り拓く未来の素材「CNF」

最後に、現在さまざまな場所で研究・開発が進められている未来の技術をご紹介します。皆様は「CNF(セルロースナノファイバー)」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。

植物の繊維をナノ単位(100万分の1ミリメートル)という、目に見えないレベルまでほぐし、樹脂などと組み合わせて作られる新しい素材です。

CNFには、次のような夢のような特徴があります。

  • 鉄の5倍の強度を持つ
  • 重さは鉄の5分の1で済む

大分大学をはじめとする研究機関や、竹の産地である鹿児島県の企業など、全国で実用化に向けた取り組みが行われています。日本中で繁茂している竹を活用して、こうした環境に優しい夢の素材を作り出そうという試みです。

おわりに

もちろん、今回ご紹介した内容が竹の魅力の全てではありません。私自身も、自分にできる範囲として、タケノコを採って別府めんまを作るといった身近な形で竹と関わっております。

竹は、少し工夫するだけで多種多様な姿に変身し、私たちの暮らしや未来を支えてくれる素晴らしい素材です。

もしご自宅やご近所に竹林をお持ちの方がいらっしゃいましたら、竹林を整備するひとつのきっかけや動機として、こうした竹の可能性を思い出していただければ幸いです。

皆様の丁寧な暮らしのヒントになれば嬉しく思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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