今回は、放置された竹林が引き起こす災害のリスクについてお話しさせていただきます。
竹が自然に生えているだけなら、そのままそっとしておいても問題ないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、竹林を放置したままにしておくと、実はさまざまな問題が生じてしまうのです。
以前のブログでも簡単に触れましたが、今回はさらに詳しくそのリスクについてご紹介いたします。
放置竹林によって引き起こされる主な災害リスクとしては、以下の点が挙げられます。
- 土砂災害(斜面崩壊)の危険性
- 洪水や氾濫による被害
- イノシシなどの鳥獣被害
- 火災(山火事)の発生リスク
それでは、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
斜面崩壊(崖崩れ)のリスク
まずは、崖崩れとも呼ばれる斜面崩壊についてです。
実際に竹に触れたことがある方はお分かりかと思いますが、竹は簡単には引き抜けません。人の手で抜くことは不可能なほど、しっかりと生えています。
そのため、「これだけ固く生えているなら、しっかり根を張って土壌を支えてくれているのでは」と思われがちです。しかし、平地ならまだしも、山においては話が大きく異なります。
普通の木に比べて、竹の根は非常に浅い位置に張られます。一般的には、わずか30センチメートルほどの深さしかありません。
これに対して、スギやヒノキといった樹木は、地下3メートルから4メートルもの深さまでしっかりと根を伸ばしています。そのため、大雨が降っても深い部分の土壌がガッチリとガードされ、土砂崩れを防いでくれます。
一方、竹林の場合は雨が大量に降ると、浅い根の層に水が溜まり、竹ごと滑り落ちてしまう「上滑り」という現象が起こります。竹そのものが重みとなり、土砂と一緒に一気に下へ落ちてしまうのです。
もちろん、他の大きな樹木がしっかりと土を支えている中に竹が混ざっている程度であれば問題はありません。しかし、竹だけが密集して生えている竹林は、大雨の際に非常に危険な状態となってしまいます。
洪水被害の拡大と流木化
次に、洪水への影響についてです。
大雨によって斜面が崩れると、押し流された土砂や竹は川へと流れ込みます。
大分県のように川が多い地域では特に注意が必要ですが、川に入った竹は流木のような状態となって流されていきます。竹は空洞で浮力が高いため、水に沈むことなく表面をどんどん流れていってしまうのです。
成長した竹は1本あたり約20キログラム以上の重さになります。それらが川の勢いに乗って流れてくると非常に危険です。
さらに、流された竹が橋などに引っかかると、そこが堰き止められて川の水が一気に溢れ出し、道路や周囲へ氾濫する原因になります。
水が溢れ出すと、周囲の農地にまで被害が及びます。大切に育ててきたお米や果物などの作物が、一瞬にしてダメになってしまうこともあるのです。
鳥獣被害の温床
3つ目は、鳥獣による被害です。
手入れをされていない竹林は、竹が非常に密集した状態になります。人が中に入ろうとしても、狭すぎて足を踏み入れることすら困難です。
しかし、これはイノシシや小さな野生動物たちにとっては格好の環境となります。「ここなら人間が入ってこない」と認識され、絶好の隠れ家になってしまうのです。
竹林の中に安全な寝床を確保した動物たちは、そこから近くの畑へと足を延ばし、作物を荒らすようになります。
最近では、集落だけでなく大分市のような市街地の道路にまで野生動物が飛び出し、ニュースになることも珍しくありません。放置竹林が動物たちの拠点となることで、人間の生活圏にまで被害が広がってしまうのです。
火災(山火事)の拡大リスク
最後は、火災に関するリスクです。
山火事などの痛ましい火災は定期的に発生していますが、放置された竹林に存在する「枯れた竹」や「枯れ葉」は、非常に燃えやすい性質を持っています。
万が一、山火事が発生した際、手入れのされていない竹林があると、それらの枯れ竹が導火線の役割を果たしてしまいます。その結果、火があっという間に燃え広がり、大きな被害へとつながる危険性があるのです。
竹林の適切な整備が未来を守る
このように、放置された竹林はさまざまな災害を呼び起こす可能性を秘めており、大変危険な存在となります。
しかし、逆にしっかりと手入れや整備さえ行っていれば、これらのリスクは大幅に減らすことができます。
- 大きな樹木と一緒にバランスよく生やし、根をしっかり張らせる
- 枯れた竹を取り除き、火災時の延焼を防ぐ
- 定期的に間伐を行い、見通しの良い竹林を保つ
しっかりと整備された竹林はとても見通しが良くなります。見通しが良い場所は野生動物にとっても居心地が悪いため、寄り付きにくくなるというメリットもあります。
放置竹林の問題は、現在日本全国のさまざまな地域で課題となっています。この記事を通して、少しでも多くの方に竹林の現状や防災についての関心を持っていただけましたら幸いです。
美しい景観と安心な暮らしを守るために、できることから少しずつ考えていきたいですね。